リスナーの皆様は読書はお好きでしょうか?本そのものではなくてもフリーペーパーや、新聞に掲載されている連載のコラムや小説を楽しみに読んでいるという方もいらっしゃるかもしれません。
新聞の連載小説ですが、ずいぶん昔から小説の連載はあったんですね。実は日本統治時代の台湾でもありまして、初期の頃の新聞の一つ、「台湾新報」という新聞という新聞にも連載小説があったんです。
その連載小説が120年以上の時を越えて、今年6月に出版されました。
タイトルは「艋舺謀殺事件」。艋舺とは現在の台北市の萬華のこと。台北の有名なパワースポットともいわれる龍山寺があるエリアといえば、ピンとくるかたもいらっしゃるかもしれません。この萬華が舞台のミステリー小説、一体どんな人が書いて、どんな内容なのでしょうか。
台湾で初のミステリー小説といわれる艋舺謀殺事件、これは日本の統治が始まったおよそ3年後の1898年1月7日から四か月間にわたり台湾新報という新聞に54回にわたって掲載された連載小説です。
日本統治から数年というこの時期、まだ台湾の社会は不安定で、台湾への理解もまだ深まっていなかった頃といえます。
物語は警察官として台湾に着任してまもない池中と台湾で記者として働く花野の二人が事件解決に迫っていくとストーリー。
事件は、龍山寺近くの池で発見された死体が果たして事故か事件かを、解決していくというものです。この事件実はこの小説が発表される1年前に実際に龍山寺近くの池で死体が発見される事件があったといいます。この事件をもとに書かれたのではないかとも推測されています。
この度、時代を越えて、本として出版されたというのには、台湾で最初のミステリー小説という点だけでなく、やはり魅力的なストーリー展開があったということがあります。
その展開を支えている、根本にあるのが、現代のように、ハイテク技術を駆使した事件解決方法、例えば、監視カメラですとか、e-mailのIPアドレスとか、またDNAなどこうしたものは当然ですが登場せず、人情的な場面があるということ。
例えば、事件について人々に尋ねていく場面だけでも、電話などもまだ気軽に通じていない時代、人とのつながりを通して、ひとつひとつ人に尋ねていくという部分。その人その人の反応など、人情味あふれる場面が小説に非常にあふれているといいます。
また小説には台湾の名所や社会状況が当然物語の基本として登場するだけでなく、法医学的な専門知識や法廷での様子も一般の読者にもわかりやすい表現でかかれているそうです。当時台湾のことにも精通しつつこのような小説を書くことができた、作者は一体何者なんでしょうか。
作者の名前はひらがなでさんぽん。さんぽんという人物は、一体何者だったのか、今日までまだわかっていません。
この小説を訳した既晴さんと、歴史考証を行った陳力航さんは、このさんぽんさんについて必死に調査したそうですが明らかになっていないそうです。
今回この本の冒頭には、なんと日本の小説家、島田荘司さんが推薦文を寄せています。島田さんは当時の掲載された連載小説を文字お越ししたものを読まれたそうです。島田さんはさんぽんさんについて、恐らく作者は一定の地位がある日本人ではないか、このさんぽんという名前からして本名ではないだろう。また素人のデビュー作であったら、このような新聞の連載の仕事もつことはできないだろうと語っています。
さんぽんという人、もしかしたら有名な作家さんだったのかもしれませんが、さんぽんという人が誰なのかという謎も将来解決できたら面白いですね。
この本は小説にでてくる名所の写真がふんだんに掲載されています。また脚注も細かくつけられており、日本の文化や物の名前、そして当時の台湾社会で使われていた用語についても説明が付けられており、読者はタイムスリップした気持ちで当時を想像しながらこの本を読み進めることができるようになっています。
もともとが日本語で書かれた小説ということで、ぜひ日本語版で日本でも出版されることを期待しています。
Rti 台湾国際放送
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