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馬場克樹の「とっても台湾」台湾の五月に降る雪-2023-04-30

  • 30 April, 2023
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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」)
苗栗の山中に咲いたアブラギリ

<第1セクション【アブラギリとの出逢い】>

  • もう15年も前のこと。私の友人が自分の故郷の苗栗県三義郷を案内してくれた。その友人とは20歳以上離れていたが、お互いに「乾叔叔(義理の叔父)」、「乾姪女(義理のめい)」と呼び合う仲だった。高速鉄道の台中駅に着くと、乾姪女(めい)のお父さん、お母さん、お姉さんと、一家総出で迎えてくれた。お父さんの運転する車で西湖レジャー村、1935年の大地震で崩れた落ちた鉄道の橋桁がそのまま残っている龍騰斷橋、今は廃線となって使われていなが改装してレトロで、それでいてお洒落に生まれ変わった勝興車站などの観光名所を案内してくれた。しかし、乾姪女(めい)が私に見せたかったのは、そうした観光スポットそのものではなく、途中の山や道端に一斉に咲いていたアブラギリの花だった。

  • 山一面に真っ白な花が咲く様は、遠目に見ると山がうっすらと雪化粧をしたように見える。途中の山道では、風や雨に打たれて散ったアブラギリが、まるで真っ白な絨毯を敷き詰めたようになっていた。それはそれは美しい光景だった。台湾に来て初めて心が震えるほどの感動を味わった。そして、この美しい真っ白な花が「五月の雪」という別名を持つことも乾姪女(めい)は教えてくれた。アブラギリは5枚の花弁を持つ。ただ、桜のように花びらが一枚一枚散るのではなく、5枚の花弁が一緒のまま、螺旋状にクルクルと回りながら落ちるのが特徴だ。雨や風に打たれるとすぐに散ってしまうのは桜と同じで、いつがその年の見頃か見極めるのも大変難しい花だ。

  • この時期、満開となる花はアブラギリだけではなかった。相思樹の花もこの時期見頃を迎える。台湾やフィリピンが原産で、沖縄でもよく見られる。タイワンアカシアの別名を持つこの花は小ぶりの黄色い花がいくつも集まっている。相思樹は、かつては木炭の原料として使われたため、台湾の山中でよく植えられた。夜は勝興駅から少し山道を入ったところで、蛍が無数の緑色の光を点滅させながら宙を彷徨っているのに出くわした。同じ日にアブラギリの雪のような白い花、相思樹の可愛い黄色い花、幻想的な蛍の緑色の光と言う、美しい光景を三つも次々に見ることができ、苗栗県のポテンシャルの高さをとことん味わった。その晩、台北に戻った私は、自宅に着くなり、ギターを片手に一瞬でこの曲を書き上げた。

 

『五月の雪』作詞・作曲:馬場克樹

 

風に舞い散る桐の花 

そっと積もるは五月の雪 

大切な人待ち侘びる 

君の心に寄り添うよ

 

雨に打たれる思い花

俯きがちに震えている

届かぬ想い秘めたまま

君の涙の訳を知る

 

闇に瞬く蛍火は

遠い記憶の子守唄

儚い夢を乗せながら

君の明日を照らしてる

 

風に舞い散る桐の花

そっと積もるは五月の雪

風に舞い散る桐の花

そっと積もるは五月の雪・・・

 

  • 『五月の雪』を八得力(バッテリー)の阿家との路上演奏のバージョンでもOA。

 

<第2セクション【台湾客家の象徴となったアブラギリ】>

  • アブラギリはもともと中国の長江以南が原産。日本統治時代の1915年に台湾に持ち込まれ、機械油の原料として中部から北部にかけての山間部に植えられた。しかし、戦後は一転して化学工業の発展により、石油製品に取って代わられ、桐油は淘汰されてしまった。日本人によって植えられたアブラギリの樹は、戦後台湾の山中に放置されることとなった。
  • このアブラギリが、再び人々の注目を浴び始めるようになったのは、ここ二十数年ぐらいのことだ。2001年に客家事務委員会が政府機関として成立したことがきっかけだ。台湾の北部から中部の比較的海抜の低い山間部に客家人(はっかじん)が多く暮らしていることから、台湾客家を象徴する花と見なされるようになり、それが地域おこしのイベントと結びついた。翌年の2002年からは「客家桐花祭(アブラギリ・フェスティバル)」が毎年開催されるようになった。

  • 今では毎年日本の桜の桜前線マップのように、ウエブサイトで台湾各地の油桐の花の開花、三分咲き、五分咲き、満開等の情報が日々更新され、どの地域のアブラギリが見頃なのか一目でわかるようになっている。私も5月の初めに苗栗を訪れる予定。今から「五月の雪」、アブラギリに再会できるのが楽しみ。

  • 洪百慧 Ft. 徐立鴻の台湾語の歌、『油桐花』をOA。

 

<第3セクション【日本からのシニア演劇公演情報】>

  • 最後に台南の郊外で行われる「新営アートフェスティバル」に参加する日本のシニア劇団の演劇について紹介。今年、創立 26 周年を迎えるシニア演劇のパイオニア「シアターRAKU」が、寺山修司没後 40 周年記念 認定事業として『テラヤマ音楽劇★くるみ割り人形』(華語標題:『寺山修司版★胡桃鉗』)を台湾・台南市 新営芸術季にて上演する。 脚色・演出は流山児祥さん。

  • 新型コロナウィルスの影響で2度上演延期になっていたプログラム。満を持しての公演。劇団員の平均年齢は68歳。5月6日(金)と5月7日(土)の2回公演で時間はいずれも午後2時30分から、場所は新営文化センター。台南市文化局か新営アートフェスティバルのサイトから詳しい情報はご覧いただきたい。

  • 毎週土曜日のみ開催される新営の夜市は本当におすすめ。チェーン店はほとんどなく、ローカル食満載で規模も大きい。もちろん、食の都、台南の郊外だけあって味も間違いない。

  • 今月の歌で、この番組の主題歌『Promised Land』をOA。

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