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馬場克樹の「とっても台湾」-2023-3-19_台南の個性的民宿

  • 19 March, 2023
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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」)
台南民宿:屎溝墘客廳&艸祭

<第1セクション【台南での定宿は「どぶ川端」という名の民宿】>

  • さて、台南には定宿としている民宿がある。その名も「屎溝墘客廳」、日本語に直せば「どぶ川端のリビング」。台南の中西区の信義街という小路に位置し、1897年に建てられたこの民宿の真下には、百年前には肥やしを運搬する用水路が流れ、海沿いの安平の方までつながっていた。歴史建造物をリノベーションしたこの民宿は、郷愁を感じさせる、暖かな人情味溢れる空間を演出。
  • 最初にこの宿に来たのはちょうど10年前の2013年のこと。まだ私のバンドの八得力が阿家(Stan)と二人組だった頃。EPをリリースして、台北、台南、高雄、台東のミニツアーを行なっていた。高雄の音楽プロモーターの紹介で台南のライブハウスでライブ演奏を行い、その時に紹介された宿がここだった。オーナーの蔡さんは、とても熱心な方で、自らを「廳長」と称して、台南の歴史や文化のことを丁寧に解説。
  • その2か月後に再び台南を訪れ、この民宿「屎溝墘客廳」で行なったライブでは、リビングにびっしりの40人ほどのお客さんが集まってくれた。そして、リビングの壁に八得力の二人が残したサインは今もそのまま残っている。今ではここに来ると、私は自然に「ただいま」と声を掛けるように。
  • この「屎溝墘客廳」には、主題歌がある。台南を拠点に活動するシンガーソングライター謝銘佑さんのアルバム『台南』に収められている。このアルバムで謝さんは、台湾のグラミー賞である「金曲奨」の2013年最優秀台湾語アルバム賞と最優秀台湾語男性歌手賞をダブル受賞。
  • 謝銘佑さんの歌で『阮都住佇屎溝墘(おいらの家は肥やしの川端)』をOA。

 

<第2セクション【本に囲まれて眠りにつく「艸祭」】>

  • ちょうど1か月前、私の所属するバンド八得力樂團は、台南の安平のリゾートホテルで、ある企業の「春酒」と呼ばれる新年会のステージを務めた。36テーブル、360名ほどの大きな宴席だった。この時に一風変わった民宿に泊まった。台南の孔子廟の斜め向かいに位置する民宿「艸祭」。ここも古い家屋を改造した建物で、元々古本屋さんも経営。今ではバックパッカーを主に対象とする民宿に。
  • この民宿の案内にはこのような文字が。「我們不服務您,我們協助您在此生活」、すなわち「私たちはあなたにサービスを提供しません。私たちはあなたのここでの生活をサポートします」という意味。民宿というより、ユースホステル的なニュアンスを私は感じた。
  • 宿泊した2階と3階にある寝室エリアは、図書館の本棚の中に一人ひとりの寝室スペースが二段式で埋め込まれているカプセルホテルのような空間。本に囲まれて眠るというのはなかなか快適で面白い体験。
  • 4階は共同キッチンや宿泊客たちが交流できる室内と室外の広々としたスペースも。そして、こちらの空間では、先ほど紹介した屎溝墘客廳の1階リビングスペースと同様、さまざまなイベントも開催。5年ほど前に鄭成功祖廟という台南の開祖、鄭成功を祀った道教の廟で私がソロライブを行った翌日に、謝銘佑さんのライブもここで行われた。
  • ここで八得力樂團の演奏で、『国姓爺風雲』をOA。国姓爺とは、漢人と日本人のハーフで、台南をオランダ人の支配から解放し、漢人からは英雄視されている鄭成功のこと。台南の名門大学「成功大学」もこの鄭成功に由来。また、江戸時代に近松門左衛門が戯曲に書き下ろし、歌舞伎や人形浄瑠璃の演目『国性爺合戦』として、日本でもお馴染みの人物。昨年の「南吼音楽フェスティバル」でのライブバージョンでお届け。

 

<第3セクション【林百貨のお隣の「隣百貨」】>

  • もう一つ、鄭成功祖廟の裏手のマンションの一室にある民宿も紹介。この民宿の周りの部屋は全てここで暮らしている台南市民。この民宿には看板はないが、資料には「鄰百貨」と掲載。スタイリッシュな内装はまさに普通の台南の市井の生活に溶け込んだような感覚に。この民宿は台南を代表する老舗の百貨店をリニューアルオープンさせた「林百貨」のすぐそばにあり、「林」と「隣」が同じ「リン」の発音であることから、語呂合わせで「鄰百貨」と付けられた由
  • この「鄰百貨」のオーナーも「屎溝墘客廳」の蔡さん。旅行客に人気の「屎溝墘客廳」が宿泊できない時には、こちらの方にお世話になることも。市の中心部に近く、林百貨、国華街、台湾文学館、孔子廟、鄭成功祖廟、赤崁樓などの観光スポットも徒歩圏。利便なこちらの民宿では、近隣の皆さんの生活の匂いや音を感じながら、擬似台南市民ライフを味わうのには最適かも。
  • 今月の歌『桜いろの夢』をOA。この曲はピアニストの黄裕翔さんと私の共同作曲で、私が日本語で作詞。2011年に震災の後に、それでも例年と同じように咲いた東北の桜を見て創作。今回も土岐千尋さんの歌で『桜いろの夢』をお届け。

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