台湾には、中国大陸から移民が盛んになる17世紀以前から住んでいた多くの先住民族(=台湾原住民族)がいて、現在16の原住民族が政府に認定されています。
その16の原住民族のうちの一つ、パイワン族の伝統家屋「石板屋」を修繕、改修した建築物が、先ごろ、「2022パリデザインアワード」で銀賞に輝きました!
この「石板屋」は、台湾原住民族のパイワン族、ルカイ族、ブヌン族で主にみられる建築物で、パイワン族の「石板屋」は、家を建てる前にまず建設に適した緩やかな斜面を探して基礎を作り、建物の壁は石を積み重ね、木材で梁をつくり、屋根は樹皮や蘆などの植物で覆い、そこに岩の欠片を重ねて作られていました。また室内の床も石が敷かれています。ちなみに、この壁や床に使われる石は地元の石材を使用して作られます。
昔は雨が降ると家の中に雨漏りがしていたそうですが、屋根をまるで蛇のうろこのように岩のかけらを重ねることで、雨が岩を流れ落ちるようになり、雨漏りの問題は無くなったそうです。(日本の瓦屋根の構造とちょっと似ていますね。)
そして、部族の頭目や位の高い人が住んでいる家になると、壁の上の方、ちょうどひさしにあたる部分辺りに彫刻が施されているそうです。
この「石板屋」を建てるのは集落にとって一大イベントで、通常は集落の人全員で1か月以上の時間をかけて作り上げるんだそうです。
そんなパイワン族の伝統家屋を修繕、改修した建築物が、今回、フランス・パリのデザインアワードで受賞しました。
受賞した作品は、「會呼吸的排灣族石板屋(Breathable Paiwan Slate House)」。
台湾南部・屏東県の北部に位置する三地門鄉にあります。この三地門鄉は、パイワン族が多く住む場所で、そこにあった80年の歴史を持つ「石板屋」を、パイワン族出身の林恵珍さんと、林伝馨さんの二人が、屏東県東三地門郷巴格達外(Pakedavai)文化芸術協会が屏東県の支援を受け、樹徳科技大学の専門的な指導の下、地元のパイワン族の職人と共に、2019年から3年をかけて修繕、修復をし、作り上げました。
屏東県では2015年からコミュニティプランナーの指導者養成プログラムを実施していて、毎年、その実施のために、中華民国台湾の国土資源の利用や管理を担う政府機関である「營建署」から助成金を獲得。このプログラムでは2021年末までに256人がコミュニティプランナー指導者の資格を取得しています。
そして現在、原住民族の集落や、離島、半島、平野部の特性にあわせ、環境保護、文化の伝承、コミュニティケアなどのニーズを組み合わせた、地域特性を生かした資源開発を積極的に行っています。
既に248のスポットが完成しているそうで、少しずつ増やしていって、屏東エリアのイメージを一緒に作り上げています。
今回、巴格達外(Pakedavai)の「石板屋」がパリのデザインアワードに参加し、しかも銀賞を獲得したことで、パイワン族の「石板屋」が世界の舞台で注目を集めることとなったのと同時に、三地門鄉のパイワン族の文化が伝承され、守られることにもなりました。
ちなみに、パイワン族の中でも、東部・南部の集落では石などの建材を集めることが難しかったことから、「石板屋」は無いそうです。
また、ルカイ族の「石板屋」は、居住エリア近くでスレートやシェールといった岩石が採れたため、全て石で作られています。
そして、ブヌン族の「石板屋」は、大きな石で壁の柱を作り、比較的薄いシェールで屋根瓦を作り、梁と窓は木を使用、その他の部分は大小の石を積んで作られています。
台湾は、ユネスコ非加盟であることから、「世界遺産」リストに載ることは現時点ではないのですが、この「石板屋」は価値ある建物であるとして、「石板屋」が集まる「パイワン族及びルカイ族の石板屋集落」を、ユネスコの世界遺産リストに登録されるべき価値を持つ「台湾の潜在的な世界遺産」として“世界遺産候補地”の一つに認定しています。
Rti 台湾国際放送
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