History page of Radio Taiwan International (Rti)
close
Rti台湾国際放送公式アプリをインストール
開く
:::

台湾ソフトパワー - 2021-12-14_初の台湾出身ノーベル賞受賞者、李遠哲さん

  • 14 December, 2021
台湾ソフトパワー
台湾の最高学術研究機関である中央研究院の李遠哲・元院長が、自身が1986年に受賞したノーベル化学賞の証書とメダルを台湾南部・台南市にある国立台湾歴史博物館に寄贈した。(写真:国立台湾歴史博物館提供)

台湾の最高学術研究機関である中央研究院の李遠哲・元院長が先ごろ、自身が1986年に受賞したノーベル化学賞の証書とメダルを、台湾南部・台南市にある国立台湾歴史博物館に寄贈したと報じられました。

李遠哲さんは、台湾で生まれ育った初のノーベル賞受賞者です。今週は、この李遠哲さんをご紹介しましょう。

1936年、日本統治時代の台湾・新竹で生まれました。

父親は有名な画家の李澤藩氏で、母親は小学校の教師でした。両親の影響もあり、幼い頃から音楽やスポーツなど様々なものに親しんでいました。

9歳までは日本語推進政策の影響で日本語のみを話していたそうですが、終戦してから、中国語と台湾語を学びました。

中学時代、一時、肺の病気を患い、1か月ほど療養生活を送った李遠哲さん。その療養期間中に、日本では「キュリー夫人」として有名な、「マリ・キュリー」の伝記を読んだことがきっかけとなり、化学者を志すようになったそうです。

高校を卒業後、国立台湾大学化学工学科に入学。大学2年の時に化学科に転科します。

大学時代は、ルームメイトで先輩の張昭鼎氏の影響を受け、物理化学に興味を持ち始めました。しかし、当時の化学部は物理方面の授業は多くなく、二人は夏休み期間を利用して、自分たちで宿舎で熱力学を熟読していました。

大学卒業後、李遠哲さんは、国立精華大学の大学院に進み、浜口博・教授指導の下、北投温泉の北投石の放射性同位体成分の研究を行い、修士号を取得しました。

そして、その後アメリカへ渡り、カリフォルニア大学バークレー校で、アルカリ原子の光励起イオン化現象など光化学を研究。

研究期間中、李遠哲さんは、次第にイオンと分子間の相互作用や、分子散乱の動力学に興味を持つようになり、特に分子のビームを交差させて反応速度を見る研究に興味を持ちました。そして、1967年に博士号を取得。

その後、李遠哲さんは、ハーバード大学でポストドクターとして、2年に渡りほぼ不眠不休で研究をし、ついには世界初の交差分子ビーム装置を組み立てました。これによって、交差分子ビーム実験の応用範囲が広がり、物理学や化学の研究に新たな分野か開かれました。

そして1968年、李遠哲さんはハーバード大学を離れ、シカゴ大学、カリフォルニア大学バークレー校、ローレンス・バークレー国立研究所などの研究機関に移籍。また、1980年には中央研究院の院士にも選出されました。

そして、1986年、化学反応素過程の研究によって、ノーベル化学賞を受賞しました。

当時は、中華民国とアメリカの二重国籍でもありましたが、中華民国出身としては、物理学者の李政道氏、楊振寧氏に次ぐ受賞であり、台湾出身者としては初めての栄誉でした。

その後、1994年に、バークレーの教授を辞し、また、アメリカ国籍も放棄して帰国。台湾の最高学術研究機関である中央研究院の院長に就任しました。

院長就任後は、アメリカでの研究経験や、ノーベル賞受賞者としての名声を活かして、中央研究院の国際化を積極的に推進。2006年に退任するまでに、海外の優れた研究者の招へいや、海外で活躍する台湾出身の研究者の帰国推進など、中央研究院を国際的に通用する研究機関へと発展させていきました。

そしてこの度、李遠哲さんは、そのノーベル賞受賞の証書とメダルを国立台湾歴史博物館に寄贈しました。寄贈したものはそれだけでなく、学術に関するメダル51セットと、学位に関する証書、ならびに式服41セットだそうです。

そのうち、ノーベル賞のメダルと証書は、国立台湾歴史博物館の2階の「斯土斯民:台灣的故事(この土地これらの人たち:台湾ストーリー)」常設展示で展示されています。しかも貴重なのは、その証書は、スウェーデンの芸術家が、その年の受賞者のためだけに書いた絵画で、証書自体が独特な芸術作品ともなっています。

台湾で初めてノーベル賞を受賞した李遠哲さん。若いときに、自分には2つ夢がある。一つは、優れた科学者となり、志を同じくする人々と協力して世界をより良い場所にしたいという夢、そしてもう一つは、台湾というこの島で努力や奮闘してきた人たちの姿を残していきたいとしていて、今回、自身の寄贈したものが台湾の人々の庶民文化の文物と共に展示されることを非常に喜んでいるそうです。

そして、李遠哲さんは今年、85歳になりましたが、現在も引き続き台湾で後進の指導にあたっています。

Program Host

関連のメッセージ