リスナーの皆様は、フードデリバリーサービスはご利用になっていますか。新型コロナウイルスの流行により、外食がしにくくなった中、日本でも利用者が急成長しているようですね。台湾でも同様です。台湾において、フードデリバリーサービスそのものは、およそ10年前から存在していましたが、一昨年、2019年から人気に火がつき、昨年、新型コロナウイルスの流行により一気に普及しました。
外食産業全体の総売上高のうち、フードデリバリーが占める割合は、2019年の年初は0.24%でしたが、2019年の年末には1.02%まで上昇、さらに2020年4月には2.79%に達しました。そして、2020年の上半期、フードデリバリーの消費総額は、2019年の上半期に比べ4倍近くに成長したんです。
現在、台湾のフードデリバリー市場をリードする2大業者といえるのが、台湾市場に2012年に参入したfoodpandaと、2016年に参入したウーバーイーツです。foodpandaは、パッションピンクがコーポレートカラー、配送用のバッグなどには、タレ目のパンダのロゴが描かれています。一方、日本でもおなじみのウーバーイーツは、黒、黄緑色、白のカラーリングです。現在、台湾の都市部の街角やレストランの店先で、この2大業者の配達員を見ない日はありません。
ちなみに、台湾のフードデリバリーの消費者を対象とした統計によりますと、昨年上半期の時点の両社の利用率は、foodpandaが79.6%、ウーバーイーツが60.8%となっています。では、foodpandaはいかにして、台湾市場でシェアトップに上り詰めたのでしょうか、本日の「ようこそT-ROOMへ」では、2017年に同社の総経理に就任、3年間でfoodpandaを台湾市場トップに押し上げた方俊強・総経理についてご紹介しましょう。
台湾を代表するビジネス雑誌のインタビューに、今年40歳になった方・総経理は、シャツとジーンズの上下、スニーカー履きで現れました。長身で痩せ方、髪をひっつめにして、辮髪のように編んだ後ろ髪を腰まで伸ばしたその風貌は、従来の企業トップのイメージとはかけ離れたものです。
方さんは小学校6年生の時、家族と共にカナダに渡り、その後、数学やコンピューターの分野で知られる難関大学、ウォータールー大学に進学、さらに世界トップクラスのビジネススクルールとして知られるインシアードで修士号を取得しました。その後、パソコンやスマーフォンでおなじみ、台湾を代表するコンピュータ企業「エイスース」で商品マネージャーを担当したほか、アメリカ発祥のクーポンサイト「グルーポン」の台湾子会社、台湾グルーポンでCEOも務めました。
ビジネスパーソンとして優秀なだけでなく、極限に挑戦する「エクストリームスポーツ」の愛好者でもある方さん、2015年、三国志の関羽のコスプレをして南極マラソンで完走、メディアでも大きく報じられました。ただ、この無茶な挑戦の代償として、方さんは手術、そしてリハビリで丸一年、仕事も遊びもできない苦境に立たされてしまいました。
ちょうど、その頃、ドイツに本社があるフードデリバリーサービスの「デリバリーヒーロー」が、シンガポール発祥のデリバリーサービス、フードパンダを買収、傘下に収めました。そして、新生フードパンダの台湾市場責任者として、方さんがヘッドハンティングされたのです。
当時、台湾のフードデリバリー市場は現在とは比較にならない規模ではあったものの、多くの業者の参入により競争は激化、本部は台湾市場からの撤退も検討していたといいます。
方・総経理は、2019年の年初、組織を見直し、経営部門、営業部門、マーケティング部門の3部門の業務仕分けを明確に行い、経営部門は配送員と消費者対応を、営業部門は加盟店舗の拡張を、マーケティング部門は、消費者とのコミュニケーションを担当させることにしました。そして、体質改善に成功した後、ライバル、ウーバーイーツとの全面対決に向けて、加盟店拡大戦略をさらに推し進めました。
現在、foodpandaとウーバーイーツはいずれも台湾において、台湾本島と離島の澎湖でサービスを行っていますが、foodpandaはさらに中国大陸アモイに近い離島、金門島でもサービスを行っています。加盟店舗数はfoodpandaの7万軒に対し、ウーバーイーツは4万軒と大差がついています。
方・総経理はこうした加盟店舗数の拡張について、消費者にとって選択肢を増やすと同時に、加盟店の密度を高め、配送の効率を引き上げる事により、リソースを優待サービスに回す事ができ、新たな顧客をつかむことができる、と説明しています。
また、foodpandaの経営について、マラソンと同様、ペース、データが重要だと語る方・総経理は、消費者数と加盟店舗数の受給と供給のバランスについても、データを駆使し事前に綿密に予測、消費者、加盟店双方にとってメリットが得られる状況で初めて、サービスを開始する慎重さも持ち合わせています。
結果、2大業者の経営戦略にも違いが現れてきています。foodpandaは、総本部から、方・総経理の経営チームが台湾市場での運営を任されている事から、プロモーションの動きも迅速で、積極的に優待サービスを行っている他、加盟店との交渉においてもフレキシブルな対応が可能となっており、この点が、加盟店舗数拡張において強みとなっています。一方、ライバルのウーバーイーツは、本社からリソース投資について効率的に行うことを求められており、人口及びレストラン密集地を重点的にターゲットとし、客単価の高い、有名店、人気店との提携に成功しています。
また、企業カラーも両極端です。Foodpandaの配送員は、パッションピンクのウェアを着、バッグを背負って配送し、加盟店の店先にはキャラクターのパンダのマークのシールを貼るなど、消費者の目を引くことを重視しているのに対し、ウーバーイーツは、配送員の服装は自由、黒と黄緑のカラーリングもfoodpandaに比べると地味であるかわりに、TVCMには有名芸能人を起用、高品質のイメージを打ち出す事で、foodpandaとの差別化を図っています。
市場シェアでウーバーイーツを上回っているfoodpandaですが、課題がないわけではありません。それは、配送員の事故、交通違反などの交通マナーの問題と、消費者クレーム数の多さです。方・総経理は、交通事故については同業他社に比べ、発生率が高いということはないと説明した一方、消費者クレームについては、専門調査チームを立ち上げるなどサービスを強化した結果、半年で半減したと、その効果をアピールしています。
フードデリバリーサービスの戦場はすでに、外食産業のみならず、生鮮、雑貨の配送サービスへと拡大しています。2大業者含め、台湾のフードデリバリーサービスが、これからどのように発展していくのか、今後が楽しみです。
Rti 台湾国際放送
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