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ようこそT-roomへ - 2021-01-06_香港人海外移住相次ぐ、台湾居留者激増

  • 06 January, 2021

 今年最初のこのコーナーでは、昨今の東アジア情勢を象徴する話題をお送りしましょう。それは香港から移住、定住を目指し中華民国台湾へやってくる人たちの増加です。

 香港では一昨年、中国大陸への容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案への反対運動、いわゆる「反送中デモ」が発生しました、そして昨年7月、中国大陸は、香港に対し反体制活動を取り締まる、いわゆる「国家安全維持法」を施行しました。香港の警察当局によりますと、この半年間で「国家安全維持法」による逮捕者は40人にのぼっています。この中には、日本でも知名度の高い、民主活動家、アグネス・チョウさんも含まれています。

 こうした中、現在の香港は、もはや以前の香港とは変わってしまったと感じ、海外への移民を考える人々が増えているんです。もともと香港では、経済格差や、住環境、生活環境に対して不満を感じている人も少なくないといい、決断した理由は一つではないかもしれませんが、増加のタイミングをみますと、多くの人達に香港を離れる決断をさせる後押しとなったことは間違いなさそうです。

 それではどれだけ増えたのか、統計をみていきましょう。内政部移民署の最新の統計によりますと、昨年2020年1月から10月までの10ヶ月間で、香港から台湾にやってきて、居留許可を得た人の数は7474人でした。この数は、一昨年、2019年の同時期比で71.7%増となっています。また定住の許可を得た人も1272人に達しました。また、10月単月で居留許可を得た人は1974人と、この2年間で月間最多となりました。

 こうした居留許可、定住許可を得た人の合計8746人は、昨年の1月から10月の10ヶ月で、一昨年の合計7332人を早くも上回っており、2020年年間では、1万人を越えるのではないか、とみられています。ちなみに、居留というのは英語では「RESIDENT」で長期間の居住を意味します。

 続いては、台湾にやってきた香港の人たちの声をご紹介しましょう。まずは、台湾最北端、新北市淡水区の新たに開発されたエリア、淡海(たんかい)ニュータウンで暮らすアランさんとジョイスさんの夫妻です。昨年7月、二匹の猫と共に台湾にやってきた2人は、youtubeチャンネルを開設、台湾での暮らしぶりについて広東語で語るチャンネルは、1万2000あまりの登録者がいます。

 もともとご主人のアランさんは、旅行で度々台湾を訪れていたほか、ジョイスさんも中部、台中市の私立大学へ交換留学に来たことがあり、いずれも台湾好きでした。昨年7月、いわゆる「国家安全維持法」が施行されると、2人は台湾移民を実行に移しました。四方を海に囲まれた香港で育った2人、淡海ニュータウンを選んだのは海が近い上、台北市中心部からのアクセスもいいからだそうです。

 アランさんは香港では、中学校で数学を教えたり、学習塾を開いていました。台湾にやってきてからも中学生向けの教材の編集をしたり、オンラインで家庭教師をして収入を得ています。一方、ジョイスさんは香港ではもともと育児雑誌の編集をやっていましたが、台湾では、インドネシアで学んだという、産後の女性が体型をもとの状態にスムーズに戻す為のマッサージを行っています。

 ジョイスさんは、香港では日々の暮らしのプレッシャーが大きかったと振り返り、台湾にやってきてから生活の質が向上、広い家での暮らしも快適だと述べました。また、早く中華民国の身分証を手にして、2024年の総統選挙では投票したいとして、

「これらは、香港では体験したことのない民主的な経験になる」と述べました。2人は、台湾に来てからも香港の情勢は気にしており、既に自分の知っている故郷ではないとしつつも、それでも互いを励ましつつ、世界のどこでもしっかりと暮らし、広東語を話し続け、香港の文化を守り続ければ、香港は消え去ることはない、と強調しました。

 アランさん夫婦は、新北市の淡海ニュータウンを選びましたが、近年、台湾に移住してきた香港の人たちに人気の地方自治体として挙げられるのが中部の台中市です。

 一昨年の統計になりますが、2019年の一年間、香港およびマカオから台湾にやってきた人たちのうち、12.6%にあたる1392人の人が台中市での生活を選びました。この人数は2018年に比べて22.3%増で、この成長幅は台湾でトップでした。現在台中市にはおよそ2600人の香港、マカオ出身の人たちが暮らしています。

 自身も香港出身で、香港の人々の台湾移民のサポートを行っている「ユニ・イミグレーション・コンサルタンシー」台湾支社のシー・プイヤン総経理によりますと、2020年もこの傾向は替わっておらず、台中市の中でも人気なのが、台中国際空港に近い海沿いの小さな街、日本語では清水と書く、清水(せいすい)区だといいます。

 また、不動産会社のベテラン営業マンによりますと、一昨年、「反送中デモ」が発生以来、台中市清水区では家を買い求める人が少なくとも3割増え、既に香港出身の人たちが5、600人は暮らしているということです。海が近いことから、冬は湿度が高い上寒く、交通も不便な為、台湾の人たちの人気は高いといえない清水ですが、空港に近く香港と行き来しやすいこと、不動産価格も北部の桃園などの半額ということもあり、香港の人たちの人気を集めているんです。

 こうした中の一人がフェイスブックで「香港人台湾移民への道」を開設、2万人以上のファンをもつザウ・ウインギンさん夫妻です。3人の子供をもつザウ夫妻は、2014年、香港で反政府デモ、通称「雨傘運動」が行われた頃から、香港には、自由に発言できる雰囲気はなくなってしまったと感じ、また、学校教育など子供への悪影響に不安を感じた事で台湾移民を決意、2017年4月、清水区で暮らし始めました。

 また、36歳の男性カメラマン、ベンさんもこのエリアに家を書い、10月から住み始めました。ベンさんは新型コロナウイルス終了後、台中の家を拠点とし、香港の両親の家との往来のほか、世界各地へ撮影しに出かけようと考えているようです。

 「ユニ・イミグレーション・コンサルタンシー」台湾支社のシー総経理によりますと、以前、台湾に移住してきた香港の人々は、中華民国の身分証を取得すると香港に戻ってしまう人も少なくなかったが、現在は台湾を終の住処にしようという考えの人が中心となってきていると指摘しています。

 香港の人たちにとっては台湾の不動産は安いものの、賃金も安く、その点がネックとなっているということですが、現在の香港の情勢をみていますと、今後も香港から台湾にやってくる人たちは増えていきそうです。

 

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