台湾の多くの人々、特に都市部で暮らす人々にとって日々の生活にかかすことができないものの一つが、コンビニエンスストアです。食べ物、飲み物を購入する店にとどまらず、各種公共料金の支払い、荷物の発送受け取り、そして店内のマルチメディア端末で交通機関や講演のチケットの受け取りなどもできます。こうした点は日本ともほぼ同様でしょうが、新型コロナウイルスが流行した今年、コンビニは、サージカルマスクの予約・支払い、受け取り場所にもなり注目を集めました。文字通り「コンビニエンス」、便利なお店ですね。
中華民国公平取引委員会がさきごろ発表した2019年の台湾の主要コンビニエンスストアチェーンに関する調査結果によりますと、業界最大手のセブンイレブン、2位のファミリーマート、3位のハイライフ、そして4位のOKマート、5位、台湾糖業系のタイタンミーリンの5企業の昨年末の店舗数は合計1万1429軒で、一昨年末に比べ524軒増加、伸び率は4.81%で、2006年以来最大となりました。ちなみに、台湾で3大コンビニといわれるセブンイレブン、ファミリーマート、ハイライフの3社は売上高、店舗数のいずれも全体の75%を越えており、この大手3社に集約する流れとなっているということです。
ちなみに、1万1429軒という数、中華民国台湾の人口はおよそ2360万人ですので、人口2065人に1軒あるという計算になります。この密度は韓国についで世界2位です。
県市別の店舗数では、台北市をドーナツのように取り囲む北部の新北市が2228軒で最多、次が台北市で1631軒、3番目が中部の台中市で1388軒となっており、直轄市6市で合計8416軒と、総店舗数の73.64%を占めています。
1平方メートル当たりの軒数を下にした、県市別の密度では台北市が6.27軒でトップ、北部の新竹市が3.03軒で続きました。一方で密度が最低だったのは南東部の台東県と、東部の花蓮県で0.03軒でした。明らかに都市部集中という傾向が伺えますね。
公平取引委員会によりますと、2019年、一人がコンビニを利用した回数の平均は、年間およそ130回、毎回の消費額平均は昨年よりも3.7元増え、台湾元およそ82.6元(日本円にしておよそ302円)でした。この消費額は2012年から年々増加し続けているということです。
冒頭でもご紹介しました通り、コンビニの密度が世界で2番目という台湾ですが、大部分の店舗は都市部に集中しています。こうした中、山間部のコンビニエンス開店を巡る2つの話題が報じられています。
10月8日、北部、新竹県の五峰郷に、最初のコンビニとなるセブンイレブンが開店しました。郷は行政区分の一つで、県の下では最も小さい区分です。村にあたるイメージでしょうか。
五峰郷は標高1000メートル以上、いくつもの国家公園があり、観光資源に恵まれたエリアです。人口は4400人、台湾原住民族のタイヤル族の人たちが多く暮らしていますが、年間の観光客は人口の20倍以上、延べ10万人以上に達します。
新竹県においては、尖石郷、蛾眉郷といった、同じく山間部の郷にはコンビニがありましたが、五峰郷には昔ながらの雑貨店、よろづやはあるものの、これまでは、コンビニがなく、最も近いコンビニは、山の麓の竹東鎮まで降りなくてはなりませんでした。
そのため、地元の人々は、五峰郷を訪れる観光客へ向け、コンビニでしか購入できないようなものは、忘れずに麓で買ってから山をあがってきてくださいね、と呼びかけてきたといいます。
コンビニの開店は、観光客の人たちの利便性向上だけが目的ではありません。当然のことながら、五峰郷の人たちも首を長くして待っていました。24時間オープンのコンビニの開店により、地元の人々も買い物がしやすくなった上、公共料金の支払いの為に、わざわざ竹東鎮まで山道を降りる必要がなくなりました。
8日に正式オープンしたセブンイレブン五峰店は、ガソリンスタンドから50メートル山を上った場所です。近くには教会があるほか、小学校や役場からも遠くない場所です。目の前には自動車を停められる大きなスペースが有り、観光客も利用しやすいということです。
ただ、人々の中には、これまで地元の人々の生活を支えてきた伝統的な雑貨店、よろずやの売上に影響を及ぼすのではないか、と憂慮する声もあります。これに対し、新竹県議会の張益生・議員は、「消費者層が異なる。昔ながらのお店は商品を売り買いする場所にとどまらず、地元の人たちにとってはこころを通わせる場所である。大きく心配していない」と述べました。
この県議会議員の見方を検証するというわけではないですが、続いては、数年前にコンビニが出店した他の山間部の状況もご紹介しましょう。中部・台中市の山間部の話題です。
台中市と、かつての台中県が2010年に合併し、直轄市となった台中市には28の区がありますが、かつて「郷」だった山間部の区も含め、全ての区にコンビニが出店しています。
3年前には標高1680メートルの和平区の環山集落の入り口に、さらに2年前には標高2000メートル近い場所にある宮殿風ホテル「梨山賓館」の隣にも開店しました。
開店から3年、環山集落では、公共料金の支払いのほか、ATMでお金を下ろすこともできること、さらにはセール活動が行われ、売っているパンや弁当など食べ物も、より衛生的ということで、これまでよろずやで購入していた人たちが、コンビニに流れている状況があるようです。そして、これは環山集落だけでなく、梨山でも同様だといいます。
台湾原住民族の人たちが多いこうした山間部、顔なじみばかりということで、これまでよろずやでは、毎回の買い物の際は記録だけつけ、月末にまとめて支払ってもらうというやり方をとっていました。環山集落で40年間に渡り、雑貨店「環青商店」を運営してきた宋月美さんによりますと、ツケを残したまま亡くなってしまう人も少なくなかったそうですが、遺族に取り立てにはいけなかったそうです。
こうした事を知る地域の人々の中には、「子供の頃からの思い出や、お互いの信用関係や人情味といったものは、代えがたい」として、依然、よろずやで購入を続けている人も一定数いるようですが、コンビニの開店により、確実に売上への影響は出ているようです。
都会からやってくる観光客はもちろん、地域の人にとってもコンビニ開店による利便性アップは間違いなく、私もまさにその恩恵を受けている一人なのですが、こうした話を聞きますと寂しい気もいたします。きっとこうした現象は台湾だけでなく、日本でも起きているんでしょうね。
Rti 台湾国際放送
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