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ようこそT-roomへ - 2020-10-14_「なんちゃって出国」、なぜ台湾で大人気か?

  • 14 October, 2020
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新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、空港では海外旅行に出かける旅行客の姿が見られなくなった。台北市の松山空港は7月2日率先して「なんちゃって出国体験」プランを実施。写真は、搭乗券を手にして嬉しそうに記念撮影をする旅客。(写真:CNA)

 新型コロナウイルスの世界的流行は、各国の人々に様々な影響を与えていますが、海外と、観光目的による自由な往来ができなくなったことも、大きな事柄の一つではないでしょうか。

 各国・地域が実質的に「鎖国」している東アジアにおいては、近頃、留学目的やビジネス目的の渡航の緩和に加え、一定条件を満たした上での隔離期間の短縮などの動きは始まっていますが、一般的な観光目的の往来はストップしている状態といえます。

 昨年2019年、台湾の海外旅行者数は過去最高となる延べ1710万人あまりでした。このうち、台湾から最も多くの人が訪れたのは日本で、実に延べ491万人でした。ちなみに、中華民国台湾の人口はおよそ2360万人です。仮に一人一回と単純計算しますと、台湾の人々のうち、実に70%以上の人が、昨年の一年間に、海外に出かけたことになります。もちろん、実際には出張や海外旅行で、何度も出国したという人がたくさんいるでしょうが、高い割合であることには違いありません。

 ちなみに、中華民国台湾の5倍以上の人口をもつ日本の昨年の海外旅行者数は、こちらも過去最高だったにも関わらず、延べ2008万人でした。国土の大きさ、国内の観光資源の差もあるかもしれませんが、1710万人の台湾と大差ないことからも、台湾の人たちが日本の人たちに比べて、どれほど海外旅行好きか、ということが見えてくると思います。

 しかし、新型コロナウイルスの影響で、自由に海外旅行ができなくなっており、たくさんの台湾の人が、いわゆる「海外旅行ロス」の状態に陥っているんです。こうした中、政府による国内旅行への補助プランや、消費拡大を目標とした「振興三倍券」の発行もあり、台湾では空前の国内旅行ブームとなりました。そして、国内線に搭乗し、海外旅行気分が感じられる離島や、風光明媚な東部、南部エリアが人気となりました。

 そして、もう一つ、ある現象が起きています。それは標準中国語で「偽出國」、「類出國」と呼ばれる現象です。「偽出國」、「類出國」はそれぞれ、偽の出国、そして類似の類、出国と書きます。意味は文字の通りで、擬似出国、類似出国、「なんちゃって出国」という意味になります。

 では、この「なんちゃって出国」とは一体何なのか、といいますと、明確な定義はありませんが、海外旅行に飢えた人々の為の様々な取り組みを指す言葉となっています。 そして、このうち最もインパクトがあり、話題となっているのが、各航空会社による、実際に台湾の国際空港から旅客機に搭乗、上空から景色を眺め、再び台湾の空港に戻ってくるという、文字通りの「なんちゃって出国」なんです。

 実は、6月の時点で、中央感染症指揮センターがこうした構想を打ち出した際、航空業界内の見方は芳しいものではありませんでした。その後、エバー航空が検討を開始、フライトの計画が明らかになると、人々が大きな反響があったことから、各社も次々に準備をはじめました。そして、これらのフライトはいずれも販売直後、直ちに売り切れました。

 そして、チャイナエアラインの子会社のLCC(格安航空会社)、タイガーエア台湾が8月6日に実施したのを皮切りに、翌8月7日には、今年1月に参入したスターラックス航空が、そして、台湾において父の日である8月8日には、チャイナエアラインとエバー航空の両社が実施しました。

 タイガーエア台湾のフライトは、北部の空の玄関口、台湾桃園国際空港から台北市北部の陽明山、台北市のランドマーク台北101を眼下に眺め、日本の鹿児島、長崎、福岡の各空港の上空を飛行してから、桃園空港に戻ってくるというコースで、機長によるガイドもあったそうです。

 スターラックス航空は、桃園空港からフィリピン方面へ南下、台湾の景色を十分に眺められるよう、特別に低空での飛行許可を申請し、景色の美しい東海岸を沿って桃園空港に戻ってくるフライトを行いました。

 また、エバー航空は、人気の高いラッピング機、ハローキティジェット機により、台湾の北東部から、日本の先島諸島の西端上空をかすめ、台湾の東海岸に沿って飛行後、最南端の鵝鑾鼻、離島の小琉球から、同じルートをUターンするフライトでした。

 チャイナエアラインは、フライトナンバーが「爸爸愛你、パパ、愛している」にかけたCI-8820、60周年記念のラッピング機で台湾一周のフライトを行いました。

 さらに各社とも機内食やプレゼントにもこだわり、有名ホテルやブランドとのコラボ商品で話題を集めました。

 各航空会社による「なんちゃって出国」はその後も、旧暦の7月7月、七夕に合わせたカップル向けの企画や、韓国観光公社とタイアップしたチェジュ島上空フライト、中秋節の月見フライトなど、様々な企画が行われました。

 就航から2ヶ月あまり、ブームは一段落してはいますが、双十国慶節の連休だった先週末も、チャイナエアラインが、南部、高雄市の小港空港を発着地として、乗務員体験もセットとなった親子向けの石垣島上空往復の2時間15分のフライトを行いました。

 また、エバー航空は年末、年始にかけ、クリスマスフライトや年越し、ご来光フライトを企画しています。

 こうした「なんちゃって出国」のほか、タイガーエア台湾では、毎週の日曜日、桃園空港で、現役のパイロット立ち会いのもと、エアバスA320型機のフライトシミュレーター体験コースも企画されています。

 インバウンド、アウトバウンドの旅行客が激減し、経営面で大きな打撃を受けている各航空会社にとって、こうした「なんちゃって出国」の売上はすずめの涙、決して収益の大幅ダウンを穴埋めできるレベルではないようですが、海外旅行に飢えていた多くの台湾の人々の心を満たしたことは間違いありません。また、ブランドのイメージアップという点ではメリットがあったといえるかもしれません。

 この他、実際の「なんちゃって出国」ではありませんが、台湾メディアは、台湾の浅草、台湾の富良野など、海外の有名観光地、景勝地へ行った気分になれる台湾各地のスポットが紹介しています。

 また、各デパートでは、現在、日本物産展、韓国物産展などが開催され、多くの人々が押し寄せています。

 11日、交通部観光局は、台湾と新型コロナウイルスの流行が同レベルのパラオと、一定条件の下で、相互の観光客の往来を解禁する「トラベルバブル」の検討をすることを明らかにしました。16日に中央感染症指揮センターで実現可能か検討を行うということです。陰性の証明、団体旅行限定など各種の条件があるようですが、パラオを皮切りに、待望の海外旅行解禁がなされるか、注目ですね。

 

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