今年、2020年は本来はオリンピックイヤーということで、日本ではオリンピックに合わせて祝日の一部、「海の日」、「山の日」、“体育の日”改め「スポーツの日」がオリンピック特別措置法により特例で変更になっていましたよね。新型コロナの影響でオリンピックは延期になりましたが今年の祝日はこの変更されたままになりました。ただ、いまだ新型コロナの収束の気配が見えてこない中、来年2021年はどうなるのか気になっていましたが、2021年も「海の日」、「山の日」、「スポーツの日」を変更する案が閣議で決定され、秋の臨時国会での成立を目指していますよね。来年の休みがどうなるのか、多くの人が、そして一般の人以上にカレンダー業者の方々はもっと気になっていたのではないでしょうか。毎年何気に過ごしている祝日ですが、国が制定した祝日ですからね、実は変更するにはなかなか大変だということを改めて気付かされました。
そんな祝日ですが、台湾の人たちから「どうして日本にはないの?」とよく聞かれる祝日があります。それは、“教師に感謝する日”されている「教師節(教師の日)」─。
台湾では孔子の生まれた日である9月28日が「教師節」とされています。
ですが、実は最初から9月28日だったわけではありません。始まりは1930年6月6日。この日、南京で教師たちが集まり中華民国で最初の「教師節祝賀大会」が行われたのがきっかけです。“祝賀大会”という名前ですが、この集まりは今で言う“デモ”のようなもので、①教師の生活待遇の改善②教師の地位の安定性の保証③教師の専門性の向上を求めるものでした。なんでも当時の教師は、給料も少なく、学校もよく給料の未払いがあったほか、当時は政局の混乱で、先生たちは「校長の交代や、政党の争い、社会的排除」などといった状況によく直面していたことから、この“デモ”に300百人以上の小中学校の教師が一同に集結したのでした。
なぜ6月6日だったのかというのには特別な意味はないそうですが、ただ、覚えやすいので“人を集めやすい”のと、6月は学期末ということもあり、政府に意見を提出しやすく、もしいい改良案があれば、来期からすぐにでも実行できることからこの日を選んだとされています。
それが他の地方へと広がり、毎年6月6日には各地で“祝賀大会”もしくは“抗議大会”が行われるようになりました。
そして1939年に中華民国教育部が“孔子の誕生日”を「教師節」と制定したんです。
ところが、この“孔子の誕生日”とされる旧暦の日付を西暦と間違えて8月27日に決定していました。これには当時も指摘があったそうですが、その後戦争が始まりそのままに。
そして、中華民国が台湾に渡った後の1952年、この問題が再び沸き起こった際に専門の学者らが暦からの推計や討論を重ね、最終的に “孔子の誕生日”は 9月28日という答えにたどり着き、現在は9月28日の“孔子の誕生日”が「教師節」として今に至っています。
実は台湾だけでなく、世界を見ても多くの国で“教師に感謝する日”があります。たとえば、アメリカは5月の第1火曜日、韓国では5月15日、タイは1月16日、ドイツは6月12日、ベトナムは11月20日…と、各国日にちはバラバラですが、多くの国にあります。
ちなみに、中華民国が台湾に渡った後の、中国では共産主義の理念の下、教師も労働者だとし、「教師節」は5月1日の「労働節」と共に祝っていましたが、1985年に“先生”と“労働者”はちょっと違うという考えから、「教師の日」を9月10日に改正しました。なぜ9月10日かというと、もうすぐ新学期が始まり、学生は教師を尊敬し学びを始めることができるという考えからだそうです。
また、ユネスコも1994年に10月5日を「世界教師デー」として国際デーに制定していて、ロシアなどは現在はそのユネスコの「世界教師デー」に合わせて10月5日を「教師の日」としています。
そこで、最初の台湾人からの質問、「どうして日本には“教師の日”がないの?」となるんですが、台湾の人からしてみれば、世界の多くの国にあるし、礼儀を重んじる習慣がある日本になぜ“教師の日”がないのかと不思議なんだそうです。
“教師の日”というものに触れずに過ごしてきた私は逆にその質問に戸惑いましたが、日本でもこの「教師の日」を作ろうという動きは過去にもありましたよね。その動きに対して、「日本では全ての人が平等であると定められていて、職業そのものも平等であると考えられていることから、“教師の日”を記念日とすることは“特別扱いする”ことを意味し、他の職業についても記念日を設立する必要性に迫られる可能性がある」こと。そして「日本には「勤労感謝の日」があり、別で「教師の日」を制定する必要はない」ことなどが理由で制定はされませんでした。
ただ、日本では、近代学校制度を全国的に整備した「学制発布」から、2022年で150周年を迎えることから、それにあわせて「教師の日」の制定を目指していたりもするようです。
今後、日本で「教師の日」が制定されてもされなくても、いつも見守ってくれて、様々なことを教えてくれる先生たちへの感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。
なお、「教師節」のとき、台湾の人たちはどのような事をするのかというと、メッセージカードやプレゼントを準備して、先生を喜ばせたり感動させようとする生徒たちがいる一方、中には先生を驚かせよう、怖がらせようと、いたずらを準備する生徒もいるようです。先生たちも気が抜けませんね。
ちなみに、9月に新学期がスタートする台湾、9月28日の「教師節」は今の担任の先生だけでなく、前の年にお世話になった先生にも感謝を表すことが多いようです。
私も台湾で語学学校に行っていたとき、クラスメイトの一人が「教師節」に手作りケーキを作ってきていて、先生を囲んで皆でそのケーキを食べた思い出があります。
そしてそのときに言われて気付いたのですが、「教師節」とは言っても、先生たちは休めるわけではありません。実は以前は「教師節」は台湾の祝日の一つだったのですが、2001年に完全週休二日制を始めた際、この「教師節」を含む7つの国定休日が休みではなくなったため、現在では「教師節」は記念日ではあるものの祝日ではありません。ですから先生たちはゆっくり休むことができません。
それでも先生は「でも、こうやって皆から“謝謝”と言ってもらえて、嬉しくてまた頑張れる」と笑顔で話していたのがとっても印象的でした。
元は“教師たちによる待遇改善のデモ”から始まった「教師節」ですが、今では皆が笑顔になる、先生への感謝にあふれる日となっています。
Rti 台湾国際放送
Rti 台湾国際放送 
