台湾東部・花蓮といえば、雄大な自然が美しい、台湾有数の観光スポットとなっていますが、その一方で、落石などの事故も多発しています。
2017年、花蓮で行われる自転車ロードレースに参加する予定だった日本人男性・白井寬之さんが、落石事故に遭い亡くなられました。当時、日本でもニュースになったので覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
レースの前日に自転車でテスト走行をしていた際、花蓮の太魯閣国家公園にある九曲洞トンネル付近で落石が発生し、ちょうど自転車で走行中の白井さんの頭を直撃。意識不明の状態が数日続いた後、搬送先の病院で死亡が確認されました。
この事故を受け、レースは安全が確認できないとして中止となりましたが、地元花蓮のサイクルクラブが日本へと帰る白井さんの遺骨と遺族を見送ろうと呼びかけ、100人ものサイクリストたちが集まり、病院から花蓮駅まで自転車で見送りました。こういった台湾の人たちの温かい対応に、ご遺族は救助活動をしてくれた方々や医療関係者、そしてサイクリング関係者へ感謝の手紙を送っています。
ただ、ご遺族は、台湾の道路などを管理する公路總局が道路の保護整備の責任を果たしていないとして、国に436万台湾元(日本円およそ1,600万円)の賠償を請求していました。
ご遺族は、「2013年から2016年の間にもこの道路で落石事故が起こっており、うち2名が亡くなっている。公路總局は注意を促すべきであり、洞門や防護柵などを積極的に設置しておらず、通行人を危険な状態にさらしている。「落石注意」の標識や情報システムはあるものの、安全維持の面では不足している」として、医療費および葬儀費用として74万元、慰謝料として362万元の合計436万元を請求しました。
これに対し公路總局は、事故の落石が起きたのは路面から100メートル以上の高い位置の斜面で、たとえ柵や防護ネットを設置していたとしても石の塊が落ちてくるのを防ぐことはできない。この道には警告の標識も設置し、委託会社が毎日巡回もしており、すでに「注意喚起」の目的は果たしていると主張。事故のあった場所は険しい山壁で、岩盤は風化しており、人の力では避けることのできない自然災害であるとしました。
その結果、先月、宜蘭地方法院民事執行処は、この中部橫貫公路は自然災害の危険性がある、いわゆる「天険の地、地形の険しい自然の要害」に属しで、そのことは台湾ではよく知られており、よく地すべりも起きていて、落石を予測することは不可能であるとし、また管理機関は警告の標識も設置しており、すでに責任は果たしているとして、国家賠償請求の申請を却下しました。
太魯閣は自然が作り出した美しく雄大な景色が人気の観光地ですが、落石による事故もよくあります。観光に行っても、場所によっては全員ヘルメットを着用することを求められる場所もあります。今でも落石防止など安全対策のための工事を行っている場所もありますが、“自然が生み出す景観と、安全のために人工的に手を加えることの線引き”が常に課題となっています。
なお、落石事故で亡くなった白井寬之さんの父親は、息子をなくした事は悲しいが、台湾の人々の優しさには感謝しているとして、その後も、2018年に花蓮地震が起こった際には、義捐金を寄付したり、事故当時、介抱してくれた台湾人男性に直接感謝するため、わざわざ台湾に来られて「恩人探し」に来られ、対面するなど、日台の友好活動を続けています。
Rti 台湾国際放送
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