先週18日、中華民国台湾の中央銀行の楊金龍・総裁は、新型コロナウイルスがもたらした経済の衰退は既に底を打ったと指摘、今後、台湾の経済はスポーツメーカー、ナイキのロゴマークのような形で回復していくと、述べました。
台湾の各メディアの報道の中で、「回溫」というキーワードをよく見かけるようになりました。「回溫」は回復のかい、温度のおん、温めると書きます。この「回溫」という言葉は、文字通り、下がっていた気温が上がる、という意味もありますが、落ち込んでいた景気、売上、ニーズなどが回復してきた場合に使われることが多い単語です。
新型コロナウイルスの国内感染が長期間発生しておらず、感染の拡大を抑え込んでいるといえる台湾では、政府の呼びかけにより、6月7日から、各自が衛生に十分に注意を払った上で、日常生活を少しずつ取り戻そう、という取り組みが推進されています。そして、まだまだ完全復活とはいえませんが、少しずつ「回溫」の兆しが見られ始めているんです。
本日の「ようこそT-ROOMへ」では、新型コロナウイルスの影響からの「回溫」に関する話題をご紹介していきましょう。
6月中旬、各銀行が明らかにしたところによりますと、5月のクレジットカードの消費額は台湾元2147億元(日本円にしておよそ7715億円)となり、谷底だった4月に比べて84億元増加となりました。クレジットカード消費からも「回温」は伺える形となったものの、5月は母の日がある月で、元々百貨店やECサイトの売上は好調であることから、5月単体で比べると過去4年で消費額は最低となりました。国内での消費、国外での消費もいずれも昨年より減少しました。また、1月から5月の消費総額は1兆1400億元(日本円4兆1230億円)で、昨年の同時期比で10%以上のマイナスとなっており、これは2008年の世界金融危機以降、最大の落ち込みとなっています。4月に比べると消費額は増えたものの、まだ、例年通りに回復したとはいえないようですね。
こうした中、他の業界に先駆けて回復しつつあるのが、国内旅行、特に景勝地のホテルです。実は、台湾は明日25日から28日までが端午の節句の連休となっており、国内感染リスクの低下により、相当多くの人達が、国内旅行に出かけるとみられています。
そして、6月下旬に連休があるにも関わらず、6月は1周目から国内旅行は昨年を越える盛況となっているんです。まだ、海外旅行が出来ない中、新型コロナウイルスの流行期間、外出や遠出を我慢していた人が、国内旅行へ出かけているといえそうですね。6月に複数回、国内旅行をする人も少なからずいそうです。
宿泊施設、民宿貸し出しのウェブサイト「エアビーアンドビー」の統計によりますと、6月第1週の予約数は、新型コロナウイルス流行前の水準を上回ったということです。なお、予約全体の4割以上が都市部以外の景勝地の宿泊施設だということです。人気の高い目的地は、中南部の嘉義、南部の台南、そして北東部の宜蘭、東部の花蓮だといい、6月の第1週の予約数は、昨年同時期を上回ったといい、中でも嘉義と花蓮は昨年に比べ60%増となっているそうです。
台湾を代表する大手旅行会社、ライオントラベルによりますと、個人旅行は2月末の228和平記念日の連休が谷底で、2月から3月にかけては連日数人しか予約がなかったといいます。しかし、4月の末、5日連続で新規感染者が確認されなかったことでようやく安心感が生まれ、一日の予約数は三桁台へと増加、5月末からは連日4桁台の予約が入っていると説明しました。なお、ライオントラベルで個人旅行客に人気の宿泊施設のエリアは、東部の花蓮、台東のほか、最南端屏東県のケンディンだということです。
なお、明日25日からの端午の節句の連休、南部の台南、高雄、北東部の宜蘭、東部の花蓮、台東などの景勝地の宿泊施設の稼働率は軒並み好調で、満室となっているホテルも少なくないそうです。なお、今回の連休だけでなく、7月、8月と夏休み期間まで予約が入っている宿泊施設も目立ってきており、景勝地のホテルは息を吹き返してきているといえそうです。
なお、ホテルだけでなく、小規模な民宿も好調です。この5ヶ月について、台湾民宿協会の彭成裕・理事長は次のように振り返りました。彭・理事長は「今年2月以降、台湾全域の9500軒の民宿業者は、新型コロナウイルスによる影響を受け、虫の息だった。しかし、新規感染者ゼロの日が増え、5月からようやく、稼働率に回復の兆しがみえてきた。そして、5月下旬から、中央旅行感染病指揮センターの陳時中・指揮官が各地を訪れたことで、回復がより顕著となった」と指摘しました。
彭・理事長はそして、民宿業者が完全に息を吹き返したタイミングは、6月7日の陳時中・指揮官による国内旅行解禁宣言であると指摘、離島はどこもほぼ満室となたほか、東部の台東、花蓮、北東部の宜蘭、そして最南端屏東のケンディンも、顕著に予約が増加したとして、端午の節句の4連休においていえば、少なくとも2日間は満室、3日間、さらには4日間とも満室という民宿もあると、笑顔をみせました。
このようにご紹介しますと、台湾の国内旅行、回復したのか、と喜びたいところですが、実はこうした国内旅行熱の恩恵を全く受けておらず、変わらず厳しい状況に直面している宿泊施設があります。それは、台北などの都市部、特にこれまで海外からの旅行客をターゲットにしていた高級ホテルです。
台湾を代表する高級ホテル、台北市のリージェント台北は、18日、株主総会を開催しました。席上、リージェント台北の潘思亮・董事長は、新型コロナウイルスの影響により、星付きホテルの多くが壊滅的な売上減に苦しんでいると説明、リージェント台北の稼働率は20%前後、同業他社の中には10%前後まで落ち込んでいるホテルもある、と述べました。
潘・董事長は、国内旅行のニーズは高まっているものの、台北市の星付きホテルの多くはもともと海外からの宿泊者が主体であったことから、「鎖国」で外国人が来台できない今、利用者は増えていないと述べました。そして、インバウンド産業と、国内旅行産業は全く別物であるとして、政府や交通部に向け、救済、補助の対象に組み込むよう訴えました。
当然、リージェント台北も他力本願だけではありません。夏休みを前に、台湾の人々が利用しやすいようモデルチェンジを図って、稼働率上昇を目指すということです。これらのホテルの多くは、特に質の高さにこだわる日本の皆さんに愛されてきた宿泊施設、海外観光客の受け入れは秋口からが予定されていますが、なんとかこの苦境を乗り越えて欲しいと思います。
Rti 台湾国際放送
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